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新たなる希望!井出四段vs渡辺竜王戦に学ぶ四間飛車・序盤編

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本エントリーでは、棋界屈指とも言われる新進気鋭のノーマル四間飛車の使い手・井出隼平四段初の著書「四間飛車 序盤の指し方完全ガイド (マイナビ将棋BOOKS)」から、あの渡辺竜王の居飛車穴熊を破った自戦記のうちの序盤戦を、井出四段側を先手表記にして、ご紹介させていただきたいと思います。

新たなる希望!井出四段vs渡辺竜王戦に学ぶ四間飛車」というエントリーにて対するサブエントリーの、第一回目になります。

お互いの形は?

【第1図】
初手からの指し手:△3四歩▲7六歩△8ニ歩▲6六歩△6ニ銀▲6八飛
http://shogipic.jp/v/Du6.png

まとめページにて散々前振りしたので、今回はグダグダと前口上を垂れずに、早速棋譜に行きたいと思います。

先後逆表記にしているため、上側が渡辺竜王で先手、下側が井出四段で後手となります。ここまではごくごく普通の居飛車vs四間飛車の出だしですね!井出四段曰く、

「タイトルホルダーとの対戦ということで作戦を考えましたが、やはり自分らしい将棋でぶつかっていこうということで、四間飛車を採用しました。盤の前に座ると案外緊張はしなかった気がします。」

とのこと。得てして結果が出るときというものは、こういう自然体で臨めるときなのかも、しれませんね。

【第2図】
第1図からの指し手:△4ニ玉▲3八銀△5四歩▲7八銀△5ニ金右▲5八金左
http://shogipic.jp/v/M4Z.png

居玉のままで金銀を囲って美濃囲いを作ったり、先に端歩を突いたりの、いわゆる「藤井システム含みの駒組み」です。井出四段曰く、「自分にとってはいつもの駒組み」とのこと。私も見よう見まねでやってみたことはありますが、大抵火傷します

「渡辺竜王側が早めに(居飛穴に)態度を決めれば、早めに襲いかかろうと思った」とのことですが、態度を保留されたので、お互い駒組みが続くことになります。

【第3図】
第2図からの指し手:△3ニ玉▲1六歩△3三角▲7七角△8五歩▲4八玉
http://shogipic.jp/v/M4a.png

この△3三角で保留されていた態度もなんとなく見えましたね!角をここに移動するということは△2二玉から左美濃〜銀冠に囲うか穴熊ですが、最近のプロ棋界の風潮だと10中8、9穴熊と、誰もが思うでしょう。

対して井出四段の▲7七角は機を見て▲6五歩と開戦する準備。本命は△4四歩と角道を閉じさせるのが狙いですが、角交換に応じられても一局の将棋。どの手を選ばれるかが序盤の分岐点で、そわそわしていたとのこと。緊迫感がありますね!

得意だけど危険・そして開戦

【第4図】
第3図からの指し手:△2ニ玉▲3六歩△5三銀▲4六歩△1ニ香▲3七桂△4四歩
http://shogipic.jp/v/M5Z.png

一旦は▲4八玉と玉を囲いにいった井出四段ですが、△2ニ玉を見て(?)右桂の活用に入ります。▲3六歩〜▲4六歩〜▲3七桂と跳ね、狙い通り△4四歩と角道を閉じさせることに成功しました。通常は▲4六歩〜▲3六歩が多いかとは思いますが、▲3六歩から入るのも、井出四段の工夫のようです*1。ここからは▲6六銀型の四間飛車を狙うのがオーソドックスだと思いますが・・・

【第5図】
第4図からの指し手:▲1五歩
http://shogipic.jp/v/M5Y.png

井出四段は▲7八銀型のままで端歩を詰めます。この▲1五歩+▲7八銀型は井出四段の愛用している構えで、銀を動かす手を端に回しているのが特徴、常に端攻めを狙えるのが利点とか。

しかしこの井出四段得意の構え、10年以上前に当の渡辺竜王が殲滅して下火になっている戦法でも、あるのです。「それをぶつけるのは非常に怖かったですが、自分の性に合っている戦法なので、これでダメなら仕方がないという思いもありました。」とのこと。若手らしい思い切りの良さですね!

【第6図】
第5図からの指し手:△1一玉▲3九玉△2ニ銀▲4七金△4三金▲2八玉△7四歩▲2六歩
http://shogipic.jp/v/M5a.png

通常ここで△3一金あたりがスタンダードな穴熊かと思いますが・・・

【第7図】
第6図からの指し手:△9四歩▲6五歩
http://shogipic.jp/v/M5b.png

その前に△9四歩。これが深謀遠慮の、深い一手なんだとか。相手の形を見て△3一金と△3ニ金を使い分ける意味があるそうです。

対して、井出四段は本当は銀冠に行きたかったそうですが・・・

【A図】
第7図の▲6五歩の代わりの指し手:▲2八銀△7ニ飛▲3八金△7五歩
http://shogipic.jp/v/M5c.png

この筋を警戒したそうです。ここで第7図の△9四歩、これを△3ニ金で穴熊に組んでいると、▲9五角〜▲5一角成と角を逃すことが出来るので、「深い一手」とはおそらくこのことを言っているのではないか、と予想しました。

やっぱ▲2八銀って上がった瞬間って危ないですよね、銀冠。

【再掲第7図】
http://shogipic.jp/v/M5b.png

改めて、第7図。そして・・・

【第8図】
第7図からの指し手:△3一金▲5六歩△7ニ飛
http://shogipic.jp/v/M5d.png

そこまで読めているのに、角頭をケア(▲6七銀)せずに▲5六歩。角頭を狙う△7ニ飛からの・・・

【結果図】
第8図からの指し手:▲6七銀△7五歩
http://shogipic.jp/v/M5e.png

開戦です

「開戦は歩の突き捨てから」とはよく言ったものですね!穴熊相手には▲6六銀型を常用している私には、なかなかに真似しづらい展開になってきました。

しかしよーく見てみると、渡辺竜王側は今の所攻めに参加しているのが飛車のみ。角道も止まったままで△4ニ角や△5一角に展開していませんし、桂や銀も今の所進出してきていません。ここで開戦というその意図や、いかに?

おわりに

いかがだったでしょうか。一見オーソドックスに進行しつつも随所に井出四段の工夫やプロの駆け引きも見られ、「得意な形で挑んでそれで負ければ仕方がない」という、若手らしい思い切りの良さも見られます。この後どう展開するのか?次回も、お楽しみに!

というわけで、本エントリーの内容はここまでになります。最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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参考書籍一覧

四間飛車 序盤の指し方完全ガイド (マイナビ将棋BOOKS)

四間飛車 序盤の指し方完全ガイド (マイナビ将棋BOOKS)

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*1:このあたりの詳しくは、ぜひ著書で!